今年(2017年)8月1日から、年金の受給資格期間が25年から10年に短縮されました。
1.受給資格期間とは
保険料の支払期間が25年間から10年に短縮されたと思っている方もいるかもしれませんが、受給資格期間=保険料納付済期間ではありません。
受給資格期間は保険料納付済期間、保険料免除期間、合算対象期間を合計した期間の事を言います。
保険料納付済期間はわかりやすいですよね。国民年金の保険料を納付した期間や厚生年金の保険料を支払った期間。それと専業主婦の方は昭和61年4月以降に厚生年金の被保険者の配偶者(3号被保険者)だった期間です。3号被保険者の方は保険料は支払わなくても保険料納付済期間になります。
保険料免除期間は病気やケガによる障害、あるいは経済的な理由で国民年金の保険料の納付が免除された期間を言います。
学生納付猶予や若年者納付猶予の期間は保険料免除期間になりません。後から保険料を納めると保険料納付済期間になります。
合算対象期間は一言で説明するのは難しいですが、単純に言うと国民年金への加入が義務づけられていなかった期間に任意加入しなかった期間です。
例えば、昭和61年3月以前までは、専業主婦の方は国民年金への加入義務がありませんでした。加入しなかった期間は未納期間にならず、合算対象期間になります。他にも脱退一時金を受け取った保険期間も合算対象期間になります。
合算対象期間はカラ期間とも呼ばれ、保険料が納付されていないので年金額の計算には含めません。
2.受給資格期間の短縮でどうなるか
■65歳に達しているのに受給資格期間が足りずに年金がもらえていない方
受給資格期間が10年以上あれば、年金が支給されるようになります。
日本年金機構から年金請求書が入った黄色い封筒が届いている筈です。既に請求手続きをしていると思いますが、まだの方はお急ぎ下さい。
■60歳に達して受給資格期間が足りないので任意加入している方<\h3>
国民年金の加入義務は20歳から60歳までです。しかし、それでは受給資格期間を満たさない場合や年金額を増やしたい場合は、60歳以降も国民年金に任意加入して保険料を納付する事ができます。
今回の改正で、60歳の時点で受給資格期間が10年あれば、任意加入しなくても65歳から年金が支給されます。ただし、任意加入をした方が年金額は増えますので、任意加入の打ち切りは慎重に考えて下さい。
■厚生年金の受給権がない方
65歳からの厚生年金は、国民年金の受給権があり、かつ厚生年金の被保険者期間が1ヶ月以上あれば支給されます。
例えば企業で20年間働いていたが、その後退職して国民年金の保険料が未納の方は、国民年金と厚生年金が支給されるようになります。
3.自分は年金が支給されるのか
受給資格期間には合算対象期間も含みます。年金定期便のように日本年金機構が把握しているのは、あくまでその個人の年金記録だけです。合算対象期間を調べるには配偶者の年金記録も調べないとわかりません。
より詳しく調べる事で合算対象期間に含められる期間が出てくる事もあり、それを合計すると10年になるかもしれません。個人では判断は難しいですので、日本年金機構や年金相談所に相談することをおすすめします。
4.いつから支給されるのか
年金は偶数月に2ヶ月分が支給されます。今回の改正で支給が決定された人は、10月に8、9月分が振り込まれます。
5.どれだけ年金が支給されるのか
平成29年度の国民年金は満額で779,300円です。
保険料納付済期間がちょうど10年の方は194,825円になります。月あたり1万6千円余りです。貰えるようになるとは言っても少額です。